貝塚

supermany誤字

Barbie(映画)

シャネル(のクリエイティブディレクター)が衣装提供しているから、というそれだけの理由で珍しく映画館まで足を運んだ。いろんな方面で飛び火炎上を余儀なくされているホットな作品だが、見に行って良かった。

 

オモロポイントは主に3つ。

 

①ピンク
言わずもがなバービーといえばピンク、なので観客の大半が何かしらピンクのアイテムを身につけて見に来ていてとても良かった。バービーの製品ロゴに近いビビッドなピンクから、柔らかめのパステルピンクまで、いろんなピンクを見られて楽しかったな〜。隣のおじさまはピンクの柄シャツに白のハーフパンツで来てたし、性別年齢問わずドレスコードもどきを楽しめるっていいね。

 

ところがどっこい、そのピンクがあまりにもヴィランの役目を背負わされていて(※個人の感覚です)なんか爽快な驚きを得た。勧善懲悪的な二元論を避ける映画だからこそ、悪のスパイスとしてあえてピンクを使ったのかなあ。
もちろん他にも皮肉たっぷりの表現はいろいろあったけど、おそらく何も知らない観客が「ピンクいっぱいのカワイイ映え画💗」を想定して見に来ているのを利用したれとは考えてたとは思う。多分。


そういうわけで、キラキラのナイフで我々を殴ってくる開幕パートのことを私は「ハリボテタイム」と勝手に名付けて呼んでいる。ピンクって何にでもなれる、の説得力たるや。ステレオタイプが染み付きすぎているカラーだからこそ裏切り甲斐はありそう。

 

②シャネル
もう一生「どれが御社のおようふくですか!!!!???」という気持ちで血眼になってファッションを観察していた。話半分すぎて何回か観客の笑いに置いて行かれたものです(ちゃんと見ろ)。

 

ハリボテタイムでバービーランドの住人たちが紹介されるのだが、このときピンクの国会で官僚バービーたちが色とりどりのツイードジャケットを着ていて、スクリーンに飛び出しそうになった。全部じゃないだろうけど多分バービーが着ているピンクのツーピースはシャネルだろ!!!!!と思ったらドンピシャだった。ソースはここ【https://www.elle.com/culture/movies-tv/a44653195/barbie-chanel-collaboration/】。シャネルというか正確にはアーティスティックディレクターのヴィルジニーヴィアールが監修した服、だけど。

 

その後も「シャネルかな?違うかな?既成のバービー人形の服かな??」みたいな絶妙なラインのお洋服がいくつも登場してとにかく目が足りなかった……。今作に登場した衣装ぜんぶコレクションブックにまとめるか衣装展やるかして欲しいんだけどどう?

 

ともかく、「ウォーリーをさがせ」的にシャネルのアイテムどこかな〜と探す楽しさがハリボテタイムの最もアツいところだったのだが………ラストの洗脳解こうぜパートでいきなりドカーンとダブルシーアイコンが出てきてしまってちょっと萎えた。面倒くさい女でごめん。でもハンドバッグとネックレス両方とも「そんなにデカくなくてよくね?」というクソデカダブルシーだったのが悪い意味で印象的で……しかも前半では匂わせるようなことしておいて、いきなりYouTubeのウザくてクソ音量デカい広告みたいに大主張してきてさあ、なんか、うん……

天気の子の協賛ゴリ押しっぷりにドン引きしたときとかなり近い、嫌な焼印がそこでぼーんと押されてしまった。ダブルシーそのものに罪はないしロゴの主張は時と場合によってはとっても良いスパイスになるのだろうが、今作で使うならパート逆じゃねえの?ハリボテタイムにそういうアイテム出しとく方がわかりやすく「ハリボテ」になるんじゃねえの?という気持ち。個人(しかも服飾門外漢野郎)の好みの問題すぎるので、シャネルにもバービーにも罪はないです。。。ただし「そこでそのアイテム出すかよ」 ショック以降、ストーリーが半分くらいしか入ってこなくて集中できなかったのはマジな話。

 

〜おまけ:上述のサイトで知ったこと〜
・主演のマーゴットロビーはシャネルの公式アンバサダーらしい。ズブズブで草。
でもシャネルが歓迎するシャネルユーザー像(見た目的な話)にはとてもハマってると思う。

・ケンの宇宙服もシャネル(正確には略)がデザイン協力しているらしい。
妙にエレガントでスマートな宇宙服だなとは思ったけどまさかほんとに関わってるとは笑


③音楽
ケン歌うまくね?と思ったらエンドロールで初めてライアンゴズリングが演じていたことを知る。道理でパフォーマンスがハマるわけだ。


前半のハリボテタイム(と呼びたくなるくらい露悪的な映像だったと思う)は「あれ?私ミュージカル見に来た?」と錯覚するほど、というかこっちが息継ぎする間もないほど歌劇の連続だったが、ミュージカル好きなので結構楽しかった。逆にあの手のミュージカルに冷めがちな人はちょっとつらいかも笑

 

dance the nightはデュアリパのMVだけ先に見ていたんだけど、あまりにもMVまんますぎて笑った。いや分かるけど。劇伴とはいえね、セットもコレオもそっくりそのまますぎて。

あとこれ、デュアリパの70~80s回帰っぽいサウンドが先な気がするけどどうなんだ笑それともバービーが爆発的に売れたとか販売が軌道に乗ったとかの時期と彼女の参照する音楽の時期がたまたま一致したのだろうか。ビルボtop30で解説ないかな〜

 

あとエンドロールでエイヴァマックスの名前が出ていたが、全然気付かなかった。好きなアーティストがいっぱい出ていて楽しい!!

 

〜おまけ〜
てか今アップルミュージック見たらフィフフィフがbarbie dreamsをカバー(?)してるんだけどww  cupidがアメリカでウケたのって言うてもオタクの誇張だろ笑笑 という感じで斜に構えていたんだけど、思ったより流行っているっぽい…??なんならビルボのランキングトップ30に居座るケーポドルとしてはかなり長い方らしいし…

 

その他
・娘役の子がゼンデイヤ似でかわいい。ああいう顔だいすき。

・前半のケンが本当に本当に心底キモすぎて、正直ケンが抜かれるたびに「やめて😣😣つらい😣😣気持ち悪い😣😣」と鳥肌立ちまくりだった。あのきもちわるさをバチボコ出せるライアンゴズリングこわいよ。つまるところ、男女にかかわらず執着を顕にする生き物は総じてキモい。これは自戒も込めて。

・なんだか知らんが英語圏の人間であろう外人がいっぱい見にきていた。ガチで6〜7割は外人だった。観客がウケるタイミングが絶妙にバラけてたのが文化のちがいを感じておもろかったなー。ちなみに一番笑い声がデカかったのは大統領バービーのmotherfucker発言。

・映画タイトルはバービーではなく「ケン」の方が齟齬がないかもね。女の自立の話ではなく、人間に依存してしまう人間の、自立のお話。

・大切なことはミームにならないね