貝塚

supermany誤字

YSL展

もう数ヶ月経つが、YSL展に行った話。

結論からいうと、だいぶ期待しすぎた。

 

会期初日のオープン前に凸ったのは初めて。9:47にスタンバイ列に到着。すでに30人弱が並んでいたが、9:58にはチケット提示して中に入れた。

 

ディオール展が壮大すぎたのかもしれないが、ゆっくりじっくり見てもぴったり1時間で出てこれてしまった。いやでも普通か。

会場内も大きくスペース使ってたし、ファッション以外の企画展見るときだいたいこんな規模感な気がする。やっぱディオール展がおかしかった。

 

YSL展は、そもそも「サンローラン展」ではない。という前提に今さら気付いた。逆にディオール展は「クリスチャン・ディオール展」ではなかったしな。

ブランド・サンローランではなくクチュリエ・サンローランの話でまとめよう!スッキリ退任した本人のようにスッキリまとめよう!という作られ方なのは潔いけど、私みたいに勝手に誤解して勝手に物足りなく感じてる人もそれなりにいそう。

パンフやSNS広報はじめ、「サンローラン存命時代に限った話です」と強調していたのでそのへん中心なんやろなーとは分かった上で臨んだつもりだったが、全然分かってませんでした。

 

とはいえmoreの要求がないかと言うと全然ある。
せっかくならリヴゴーシュの話とか、アクセサリーに関する詳細とか、モンドリアンルックの詳細とか現在のクリエイティブディレクターたちとか、他にも言及してほしい箇所がたくさんあったんだが、スペースの都合なのかキュレーターの意向なのかかなりばっさりとカットされていた(今回、広報からムッシュYSLを強調されていたのは、そういう物理的な制約が大きかったのでは?と思いたくなるし)(あのこぢんまりしたYSL美術館が衣装協力してることを考えると、そもそも企画展、それも国外の、に自由に出品できるアーカイブ自体があんまり数ないのかもしれない)。

 

そういうメゾンにまつわるあらゆる情報を網羅した結果、ディオール展は3時間コースの大がかりなものになっていたし、すべてのブランド展で実現するわけじゃないのもわかるが……
にしてもキャプション少なくなかった………?

 

扱う内容のみならず空間設計もめちゃくちゃすっきりしてて、やはりディオール展と比べてしまい申し訳ないのだが、こっちに関しては逆に気が散らなくていいな〜と思った。もちろんサンローランの機能的なスタイルを守るためのデザインなのだろうが、服に集中するにはすごく快適。

 

〈好きだった服〉
2つめのセクションにあったマリンルックのミニワンピース、これが本当にかんわいいんだわ。

遠目に見るとビニール素材みたいにテカって見えたのが、近づくとスパンコールの光の反射たちだと気付きとても興奮した。ボディスは紅白ボーダーで覆われていて、ジャストウエストから下は紺のスカートに色分けされているので、一見ツーピースにもみえるワンピースになっててオモロい。素材と色の切り替えで2度おいしいワンピース。


同じ部屋にあったジャンプスーツとタキシードはシンプルに「これ着て働きてえー」だった。本当にかっこいい……素材も縫合も遊ばず、あくまでスタンダードなスタイリッシュな形に仕上げてるし、上から下まで黒、なのに重くないのはやはりシルエットがスマートだからなのか。あるいは単にそう思いたいだけかも。


どれか忘れたけど、黒のスーツ類でひとつだけ足元をシルバーの光沢あるミュールで飾ってるものがあって(他はすべて黒のパンプスだった)、それもすごく好きだった。

 

〈アクセサリー〉
今回の展示、基本的にトルソーではなく頭から手足の指先まで揃った「マネキン」が使われていたのが、マジで最高だった。

ただ服がありゃいいってわけではなく、グローブ、ピアス、靴ぜんぶ身につけてはじめて完成するんだよー というサンローラン本人のこだわりが汲まれていて最高でしたね。
という高尚な感想を言いたいところだが、純粋にアクセサリーとかタイツの合わせを見るのが楽しかっただけである。

 

〈2回目も行きました〉

もともと一緒に行こね〜と話していた人がいたので、日曜の15時くらいに行ってきた。テートの方が激混みなのにYSL展は待機列のたの字もなく、逆に心配になった。いや混むよりいいんだけど。

 

総評:ボリューミーなはずなのにめちゃくちゃコンパクトに感じる

 

結局私は見たいものを見て言いたいことを言っているだけなので、的外れもいいところかもしれないが、ファッションの企画展としてもファッションに限らない企画展としても、結構地味な印象だったなあというのが正直なところ。

とはいえつまらなかったわけではないし、パリの本家YSLミュージアムのこぢんまりした感じに寄せたと考えれば納得しないこともない。いやそれ言ったらムッシュサンローランの部屋再現してくれよ、とかさらに思うことはあるが……

つぎにそこそこ大規模な企画展を開くラグジュアリーはどこかな。ちょっと楽しみ。